カシオ計算機会長の樫尾和雄と社長の和宏の性格について、カシオの幹部たちはこう口をそろえる。「対照的な二人だ」。
和雄は創業4兄弟の中で営業分野を担ってきた。社長就任後も押しの強さを発揮し、トップダウン型の経営で会社を切り盛りしてきた。一方、長男の和宏は「下からの意見をうまく吸い上げてまとめていくタイプ」(中山仁執行役)だという。
2015年に社長職を交代した後、和雄がCEO(最高経営責任者)、和宏がCOO(最高執行責任者)的な立場で共同で経営に当たっている。「事業を伸ばしながら経営を譲るには、いったん一緒に経営する中でノウハウを引き継ぎつつ、新しい体制を作ることが最善」と和雄は話す。
和雄は現在87歳だが、経営に対する意欲が衰えたわけではない。むしろその逆なのかもしれない。営業利益倍増を掲げる3カ年計画に関しても「倍なんて当たり前。どこに行ってもブランドは認知されている。カシオの資産を生かせば必ずできる」と言い切る。
経営はワンマンから集団指導体制へ
経営を継ぐ和宏が追求するのは「カシオらしさ」。建築家の近澤可也の言葉「オハイオ」を引用してその重要さを語る。「面白く」「初めて」で「意味」「驚き」がある。その頭文字を拾うと、「オハイオ」。非時計事業の拡大、新規事業立ち上げ……。「すべてにカシオらしさがなければならない」。
利益倍増には何が必要なのか。和雄は「半導体技術の進化で新製品が生まれたが、今はそれだけでは難しい。商品ではなく、事業レベルで物事を見なければいけない」と語る。
息子の和宏は、次世代の柱は教育事業だと考えている。「カシオは電卓や電子辞書、楽器など、教育で使われる商品が強い。ただ、製品区分が細分化されすぎていた。教育というくくりで整理し、伸ばしていく。時間をかけて学校への販路を築いてきたので、必然的に利益は倍になる」。
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