逆風に見舞われた安倍晋三首相は政権の立て直しに躍起だった。昨年12月28日の従軍慰安婦問題の日韓合意、今年1月24日の沖縄県の宜野湾市長選勝利と続き、内閣支持率も好調で、政権運営は順風と映ったが、28日の甘利明前経済財政相の辞任で、政治の風景が急変した。
引き金は甘利氏の金銭授受疑惑を取り上げた21日発売の『週刊文春』の第一報であった。
安倍首相は2012年の自民党総裁復帰の推進役、第1~3次の全内閣での重要閣僚として助力を得た甘利氏への恩顧を忘れず、最後まで激励と慰留を繰り返したようだが、辞任記者会見の1時間半後に皇居で後任の石原伸晃元幹事長の閣僚認証式を終えるという手際のよさであった。実際は第一報の直後から素早い幕引きと政局転換を企図して早期辞任を促す作戦だったのではないか。
後任・石原氏起用の思惑
翌29日、日本銀行が初のマイナス金利政策導入を決めた。「いい方向に動いていると思う」(麻生太郎財務相)「評価したい」(菅義偉官房長官)と、政権の中枢閣僚がそろって「歓迎発言」を口にして、「政府と日銀の連携プレー」を印象づけたが、甘利ショックを消すのに懸命の安倍政権、と受け止めた国民も多かったに違いない。
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