衆議院に小選挙区制を導入する政治改革をめぐって自民党が分裂し、野党に転落した1993年。自民党の中堅議員だった与謝野馨氏は、初めての野党暮らしで途方に暮れていた。政治の師である中曽根康弘元首相を訪ね、「野党は何をすればよいのでしょう」と問うた。終戦直後の政界で野党経験がある中曽根氏は即答した。「簡単なことだ。野党がなすべきことは、与党を目指すこと。これに尽きる」。
与謝野氏は、視界が開けた思いがしたという。非自民連立の細川護熙政権が発足していたが、与謝野氏ら自民党の議員たちは、細川政権と徹底的に対決し、10カ月後には社会党の村山富市委員長を首相に担いで政権に復帰するという離れ業をしてみせたのである。
今、このエピソードを紹介したのはほかでもない。今夏の参院選に向けて民主党など野党側が自民・公明連立の安倍晋三政権にどう向き合うべきかを考える際に参考になると思うからである。
安倍自民党の「一強多弱」といわれる政治状況の中で、昨年秋から民主党を中心とする反自民勢力が結集に向けて動き始めた。まず、維新の動きである。維新の党のうち、橋下徹前大阪市長の率いる勢力が「おおさか維新の会」として独立。残った「維新」の本体では松野頼久代表が再選し、民主党との国会内統一会派の結成で合意した。衆議院では100人近くの新勢力となり、予算委員会をはじめ通常国会での論戦に向けた野党側の態勢が強化された。
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