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過去の相場操縦は小粒で手口も稚拙 世彰氏への強制調査とギャップ大

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専門家が「線引きが難しい」と言い切る相場操縦。制裁制度は、刑事責任を問う刑事告発と、課徴金を課す行政処分の2本立てになっているが、どちらも過去の実績は線引きの難しさを裏付けるものとなっている。金融庁内の証券取引等監視委員会(以下、監視委員会)が犯則調査を行うが、刑事告発は監視委員会が捜査当局に対して直接行うのに対し、課徴金は監視委員会が金融庁に処分決定を勧告し、金融庁が処分対象者の言い分を聞く「審判手続き」を経て正式に処分決定する。

このため、処分対象者が監視委員会の勧告内容を認めれば勧告後すぐに決定が下りるが、争うと審判手続きが終わるまで決定は下りない。

下表は、過去に金融庁が相場操縦を理由に課徴金納付命令を出した全事例を列挙したものだ。課徴金制度は、立証のハードルが高い刑事告発以外の方法で実効性を確保できる制度として、旧証券取引法下で2005年4月に誕生した。ただ相場操縦に関しては、当初は課徴金の適用対象となる行為の範囲が狭く、08年まで相場操縦で課徴金納付命令が出た実績はない。09年から実績が出始めたのは、08年6月の金融商品取引法改正(08年12月施行)で課徴金制度が大幅に拡充され、相場操縦の適用対象となる行為の範囲も広がったためだ。

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