証券取引等監視委員会が今回問題にしたのは、2014年6月27日と7月16日のTSIホールディングス株の取引である。村上世彰氏の関係先を強制調査したのは15年11月25日だから、取引から強制調査まで1年半近くもかかっている。「なぜそんな昔のことを今さら掘り返すのか」という印象を受けるかもしれない。が、監視委員会の関係者によれば「相場操縦の下調べに、1年くらいは当たり前のようにかけている」のだそうだ。
不審な取引は、東京証券取引所や監視委員会、証券会社によって、二重、三重の仕組みで監視されている(図1)。そして多くの場合、以下のような流れをたどる。
[図1]

まず、東証の売買審査部が「おかしい」と思ったら、注文を取り次いだ証券会社に問い合わせる。次に証券会社は不審な取引をした者に警告したり、どんな目的の取引なのかなどを東証に伝えたりする。
監視委員会は、市場分析審査課が東証や証券会社と情報共有することで、不審な取引を監視している。
この記事の特集
トピックボードAD
有料会員限定記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら