「ここまで12年かかった。今では周りから“神”と言われます」 認知症で要介護3の母親(76)と二人暮らしの和氣美枝さん(44)は、2年前から「働く介護者おひとりさまミーティング」を開催している。昨年は「ワーク&ケアバランス研究所」を立ち上げ、仕事と介護の両立支援に忙しい毎日だ。
和氣さんがマンションデベロッパーに勤めていた32歳のとき、母親がうつ病を発症した。父親はすでに亡くなっており、姉は結婚して家を出ていた。母親を医療のデイケアに通わせながら、何とか仕事との両立を続けてきた。
当時、介護のために使える会社の制度を知らず、市役所の手続きや通院の付き添いには有給休暇を使った。しかし、仕事を休む回数がしだいに増え、「会社に居づらい雰囲気を自分で作ってしまった」。勤務時間を調整しやすいコンサルティング会社に転職したが、社長と考え方が合わず40歳のときに退職した。
二度目の退職と前後して、母親に今度は認知症の症状が出始める。病院からは介護保険への切り替えを勧められた。役所でたらい回しされながら何とか手続きをしたものの、先行きの不安ばかりが募る。手探りの日々を送る中、介護の支援者団体が主催する集まりに参加したところ、生活がガラリと変わった。介護経験者と話をすると、役所での手続きやケアマネジャーとの付き合い方など欲しかった情報がいくつも手に入った。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら