2015年内の利上げ開始という、米国連邦準備制度理事会(FRB)が掲げてきたシナリオに、大きな狂いが生じ始めている。雇用の異変である。
米国経済には、1年ほどにわたって二つの弱さが見られた。一つは、ドル高と新興国経済の不調による外需の悪化である。もう一つは、原油安によるシェールブームの終焉であり、石油・ガス掘削投資の大幅減少という形を取った。しかし、長らくこうした下押し圧力はほぼ製造業が受け止めてきた。FRBや市場参加者が最も注目している雇用は、堅調な伸びを続けたのである。順調な雇用拡大は、原油安による実質購買力の高まりとともに、米国経済のエンジンである個人消費を支えてきた。
力強い雇用の回復に、9月から異変
ここで視点を変えて、FRBに課せられた二つの使命(デュアルマンデート)に照らし合わせてみると、新興国不安、ドル高、原油安という中で、米国経済では「雇用は大丈夫だが、物価に問題がある」という状況が続いてきたといえる。
失業率は9月時点で5.1%、不完全雇用失業率(U6)は10%にまで低下した。14年1月の失業率は6.6%、U6は12.7%であり、米国の労働市場が急テンポで改善してきたことがわかる。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら