中国株の暴落、政府による株価下支え策(PKO)の失敗、金融緩和をはじめとした景気対策──。市場混乱と慌ただしい政策対応が続く中、中国経済に対する悲観論は蔓延し、さらにその不安が世界の金融市場に伝播して、現在もその余波が続いている。
しかし、その懸念に行き過ぎはなかっただろうか。一つ考えられるのは、市場が中国政府の能力に関してあらゆる断面を混同しているのではないかということだ。
今回の混乱のきっかけは株価暴落とPKOの失敗だった。あの手この手の直接的な市場介入策に加えて、金融緩和策が打たれ、人民元も切り下げられた。しかし、株価は下げ止まらなかった。こうした中、中国政府は株価も、為替レートも、さらには経済もコントロールできないのではないか、という疑念が強まったのではないだろうか。
中国政府は景気下支えの能力は失っていない
中国株の大暴落には前例がある。上海総合指数は2007年10月から08年11月にかけて、72%の急落を演じた。つまり株価は昔も今も、中国政府の意向どおりには動いてくれない。したがって、今回のPKOの失敗も当然視されてしかるべきであり、それが失望を生んだとすれば、市場が中国政府の能力を過大評価していたということになろう。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待