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ワタミの失敗 居酒屋は客離れ、介護事業売却、かつてない危機

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客離れが止まらない居酒屋チェーン「和民」。収益柱である介護事業の売却に追い込まれるなど混乱が続く。かつてない危機を迎えるワタミはどこへ向かう。

(本誌:又吉龍吾)
(写真:新規参入して11年で介護事業を手放すことになったワタミ。かつて急成長した居酒屋「和民」は、消費者ニーズとのズレが顕著になってきた)

朝から晴天に恵まれたシルバーウイークのある日。東京・練馬区の閑静な住宅街から、ひときわ大きな笑い声が聞こえてくる。

「レストヴィラ中村橋」と書かれた施設の入り口では、年輩の女性が孫らしき子どもと楽しく会話している。この施設は居酒屋チェーン「和民」を展開するワタミが運営する有料老人ホームだ。

東京・練馬区にあるワタミの介護施設。職員が忙しそうに何度も出入りしていた

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ワタミは、介護事業の子会社「ワタミの介護」を損保ジャパン日本興亜ホールディングスに売却する。譲渡日は12月1日の予定だ。関東4都県や大阪、愛知など111カ所(2015年3月末時点)で介護付き有料老人ホームや通所介護事業を展開してきたワタミ。今回の売却で210億円を手にする。

こうした事態を招いた直接の要因は、主力である外食事業の苦戦にほかならない。「ブラック(企業という)批判の影響もあると思うが、提供する商品とお客様が求めるものとの間に乖離が生じてしまったことが客離れの大きな原因だった」(ワタミの清水邦晃社長)。

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