新古典派顔負けの視点から最適解を探る
評者BNPパリバ証券経済調査本部長 河野龍太郎
日本の労働時間規制は大きな二つの問題が絡み合っている。
一つは長時間労働で健康を害する人が増えていることだ。不況期には労働時間は減少するが、日本では行き過ぎたリストラで残った人の労働時間はむしろ長期化した。法律で1日8時間、週40時間を超える労働は原則禁止だが、労使協定を結べば青天井の時間外労働が可能だ。
超過時間にはペナルティとして割増賃金を企業に課すが、割増賃金を算定する際の基準賃金の操作も容易で、有効な規制になっていない。何より多くの働く人にとり、残業代は生活費の一部で、割増賃金が長時間労働を助長している。働き過ぎを抑える規制強化が必要だ。
一方、知的創造力を生かし高い付加価値を生み出す人には、規制に縛られた働き方はむしろ生産性を阻害する。大きな成果を上げる人は、寝る間を惜しんで働いてきた。ホワイトカラー・エグゼンプション(WE)として、規制対象から外す必要がある。第1次安倍政権では残業代ゼロ法案として反発が広がり、第3次安倍政権は対象者を大幅に絞ってWE法案を提出したが、対象を絞り過ぎると効果が得られない。どうすべきか。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待