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『経済データと政策決定』 『朝日新聞「吉田調書報道」は誤報ではない』など

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経済データと政策決定 ―速報値と確定値の間の不確実性を読み解く
経済データと政策決定 ―速報値と確定値の間の不確実性を読み解く(日本経済新聞出版/336ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
こまき・やすゆき●日本大学経済学部教授。1962年京都生まれ。関西学院大学法学部を卒業。筑波大学大学院博士課程を単位取得退学。ニッセイ基礎研究所、大蔵省財政金融研究所客員研究員などを経る。共著に『期待形成の異質性とマクロ経済政策』など。

適切な政策評価のため GDP推計方法の開示を

評者 BNPパリバ証券経済調査本部長 河野龍太郎

本来GDP(国内総生産)統計は一国の経済統計のアンカーをなすべきものだ。発表される月次の経済指標が蓄積され、経済の姿が徐々に浮かび上がり、最後にGDP統計の発表で、当該四半期の経済の大まかな全体像が確認される。しかし、日本の統計事情はこれとは異なる。

まずGDP速報値はそれ以前に発表される経済統計と方向性の異なることがよくある。続いて1ヵ月後に発表されるGDP改定値は、速報値とまったく異なることも多い。さらに翌年末に発表されるGDP確報値では、各四半期の成長率のプラス、マイナスの符号が入れ替わることも珍しくない。

そんな経済データに振り回されエコノミストはお気の毒、と笑って済ませられる話ではない。問題は、正確とは言えない速報値を基に政策決定がなされ、場合によっては多大な財政資金が追加財政として費消されることだ。さらにデータが改訂されると、速報値など改定前のデータは上書きされて後に残らないため、経済政策をレビューする際、確報値が使われる。これでは適切な政策評価が行えない。データに基づいた政策の重要性が謳われるが、データそのものの信憑性が問題なのだ。

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