
邦銀があこがれるウェルズ・ファーゴ。が、それは遠い憧憬なのだろうか(ロイター/アフロ)
グローバルな資金決済や証券取引のネットワークを運営しているSWIFTが定期的に開催している国際会議がSibos(サイボス)だ。昨年、米ボストンで開催されたサイボスでも世界の主要銀行がブースを設けて自社の金融テクノロジーの高さを競い合った。その中で入り口に西部劇に出てくるような幌(ほろ)馬車を陳列した一角があった。世界中の銀行が注目する米銀、ウェルズ・ファーゴのブースだった。
幌馬車は同銀行のトレードマークである。西部開拓時代の1852年にアメリカン・エキスプレスの創業者二人がサンフランシスコで創設したからだ。この銀行の名が広まったのは1998年だった。くしくも、それはミネアポリスの地方銀行、ノーウェストによるウェルズ・ファーゴの買収のときだ。
なぜか。買収したノーウェストは自らの社名を捨てて、歴史とブランド力のある被買収銀行の名称を選んだからだ。名を捨てて実を取ったといっていい。銀行名だけではない。ウェルズ・ファーゴの本部機能も踏襲された。
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