リスクの取り方 第10回
年初、飛び出した麻生太郎副総理の「守銭奴」発言。内部留保を ためるだけため込み、使わないのはいかがなものか。ごもっとも。腰が引けた経営者諸氏に「腹のくくり方」を伝授しよう。
あなたに「角(かど)」はあるか
千本倖生 イー・アクセス創業者
なぜ、何度も起業したのか。一つは中小企業の経営者だった親父のDNAです。何かの拍子でDNAにスイッチが入る。
でもいちばん大きいのは、米国で得た価値観。電電公社(現NTT)に入社後、留学した。ルームメートに「僕の会社は巨大独占企業」と吹聴したら、彼は「つまらない」。ロマンを追いかけ、リスクを取り、とてつもない変革をやる。米国にはフロンティア精神が滔々(とうとう)と流れている。
日本に戻り、その価値観は地下水のように自分の中で眠っていた。電電公社の民営化とともに地下水のバルブが破裂したんです。稲盛和夫(京セラ創業者)さんにDDI(第二電電)の設立を持ちかけた。起業で大事なのはよきパートナー、よき師を得ることです。一から経営を教えてもらった。電電公社には経営なんて存在しなかったんだから。
JR系や道路公団系など新電電がいくつもできたじゃないですか。みんな溶けて消えた。残ったのは稲盛哲学が注入されたDDIだけ。
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