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シャープ 重大局面再び

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危機脱出からわずか1年半。シャープがまた経営難に陥った。抜本策を打ち出さない姿勢に主力取引行はいらだちを隠せない。

(本誌:許斐健太、杉本りうこ)

「シャープ製品を積極的に買いましょう!」──。2月からシャープ社内では、「バイ・シャープ運動」と称する自社製品の購買奨励策が行われている。低迷する収益の下支えが狙いだ。「同業他社がベースアップをする局面で、なぜうちだけ購買運動なのか」。社員からは白けた声が漏れる。だが経営側としては、もはやなりふり構っていられないのが正直なところだろう。

2011~12年度に計9000億円超の巨額赤字に陥り、経営危機に直面したシャープ。救済したのは銀行だった。主力取引行の三菱東京UFJ銀行とみずほ銀行が協調融資の延長を軸とする支援を実施。13年秋には約1300億円の増資を果たし、計3300億円の社債償還という資金繰りのヤマ場を越えた。

からくも延命してからわずか1年半、シャープはまたもや危機に瀕している。14年度は黒字計画が一転、300億円の最終赤字に転落する見通しである。液晶パネルとデジタル情報家電、太陽電池の3事業が想定より収益悪化したのが要因だ。この結果、銀行支援の条件だった13~15年度の中期経営計画が未達となった。

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