新潟の穀倉地帯が生んだ優良企業、雪国まいたけ。実は5年近くも激しい内紛劇が続いていた。キノコ王国はどこへ行く。
(本誌:田野真由佳、大滝俊一、堀川美行)
どんと積み上げられた分厚い資料を前に役員たちは息をのんだ。2月23日午後、東京都江東区の雪国まいたけ(以下、雪国)東京本部での取締役会。議案は雪国の将来を決定づけるものであった。米国の投資ファンド、ベインキャピタルが雪国にTOB(株式公開買い付け)を行うというのである。
6人の取締役全員が顔をそろえた。関係者によれば、そのうち大塚政尚氏ら3人の取締役はTOBの件を当日まで把握していなかったという。会長兼社長の鈴木克郎氏などから、TOB関連の資料を基に30分程度の簡単な説明が行われる。鈴木氏はすぐに出席者たちに結論を求めた。「ぜひ賛成してください」。
取締役からは「あまりに拙速だ」という声が上がった。出席者の一人は「こんな重要なこと、この場で決を採られても困る」とその場から退出してしまった。
その結果、出席者は6人から5人へ。出席者が1人減ったことは、この取締役会で決議を行ううえで大きな影響を及ぼした。6人の取締役のうちTOB情報を正確に知っていた者は3人、知らなかった者は3人。突然決議を求められれば、賛成と反対は3対3の可能性があった。
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