経済成長率の目標値引き下げなど、中国経済が転換期を迎えている。外資受け入れにより成長してきた中国が資本輸出国に転じたのもその表れだ。
第12期全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の第3回会議が、3月5日から北京で開かれた。李克強首相の政府活動報告では中国経済が「新常態」と表現される安定的成長段階に入ったことが強調され、経済成長の目標を前年までの年率7.5%から7%前後に引き下げることが表明された。
経済の「新常態」といっても、その具体的なイメージはまだ明らかになっていない。ただ、中国が経済構造上の転換期を迎えていることは間違いなさそうだ。たとえば春節休みの前から、中国が「資本の純輸出国」に変化しつつあることの予兆ともいうべき一連の動きが生じていた。
まず2月3日には、直接投資を含む資本収支が2014年第4四半期に912億ドルもの赤字になったことが明らかにされた。これは国際収支の統計が公表されるようになってから最大の規模である。資本収支の赤字化を反映し、外貨準備も14年全体で1188億ドルの減少を見せた。
続いたのは、人民元の対ドル相場の下落だ。2月27日の上海外国為替市場で、人民元は一時1ドル=6.269元まで下落し、2年4カ月ぶりの安値となった。ただし、これは市場では織り込み済みだった。人民元の1年物の対ドル先物レートは、昨年12月から急落し、1ドル=6.35~6.4元で推移していた。現在のスポット取引における人民元安はそれをなぞったものだといえる。
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