その時、平井は
11月24日午後。折しも米国に出張中だった平井一夫社長のスマートフォンが鳴った。ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント(SPE)のサイバー攻撃について、第一報が飛び込んできたのだ。
その日、パソコンを立ち上げたSPE社員が目にしたのは、赤いドクロのイラストと「従わなければ世界中に内部情報を公開する」という脅迫文。ハッカーの要求は明らかにされていなかったが、異常事態であるのは間違いない。
平井社長はすぐさまマイケル・リントンCEOらSPE幹部と直接連絡を取り、情報を共有した。同日のうちに東京のソニー本社でも法務やITセキュリティ、広報などの担当者が集められ、サイバー攻撃の対策チームが発足した。その後2回にわたり、ソニー本社の経営幹部も交えて会議が開催されている。12月上旬にはリントン氏が来日し、米連邦捜査局(FBI)の捜査状況などを本社の経営幹部に報告している。
これらの場では攻撃への対策が講じられると同時に、あるコンセンサスが定められた。すなわち、メディアなどに対する窓口をSPEに一本化するという方針だ。日米のメディア関係者から「雲隠れ」と揶揄されるほど平井社長が公式の場に現れなかった最大の要因は、この決定事項に終始縛られたことだったのだ。
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