漢方は“何か困ることはありませんか”が口火--『西洋医がすすめる漢方』を書いた新見正則氏(帝京大学医学部准教授)に聞く

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──柴胡(さいこ)が付いたものがしばしばでてきます。

柴胡は山地に自生するセリ科の多年草で、その根を使う。単独ではやや体を冷やす作用がある。漢方エキス剤のほぼ6分の1に含まれている。柴胡は気を静めるし、お通じもよくなる。黄(おう)ゴンを含んだ柴胡剤を飲むほうが、変なサプリを飲むよりビジネスマンにとってよほどいい。

もう一歩進んで、体格ががっちりしたタイプでストレスが多い中間管理職には、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)がお勧め。高めの血圧に加え、イライラする、精神不安、不眠などの精神神経症状に有効だ。

──薬局の「店頭のぼり」に八味地黄丸(はちみじおうがん)がよく見られます。

八味地黄丸は牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)とともに、初老期の衰え回復のパッケージといえる。50歳を過ぎて精力が衰える、気力もない。腰が痛い、足がしびれる、なんとなく目が遠くなる、耳も聞こえなくなる、はたまた白髪が出てくる。それらに効くということで作った薬剤。夜の小水の回数も1~2回減る。

──購入は薬局ですか。

薬局でも売っている。ネットで買ってもいい。「自分で探そう漢方薬」という本を書きたいぐらいだ。

昔の知恵だから、ちょっと学べば自分に向く処方がわかる。値段は病院で処方してもらうより6倍ぐらいになるが、ネットでもメーカー品は買える。それでも1薬剤月5000~6000円程度。ただし補完療法だから、治らなければ、当然医者に行くことは心掛けてほしい。

(聞き手:塚田紀史 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済2010年10月16日号)

にいみ・まさのり
愛誠病院漢方センター長を兼務。1959年生まれ。慶應義塾大学医学部卒業。93~98年英オックスフォード大学医学部博士課程に留学、移植免疫学で博士号。98年より帝京大学に勤務し、専門は末梢血管外科。2002年に保険診療によるセカンドオピニオン外来を開設。漢方治療も手掛ける。

『西洋医がすすめる漢方』 新潮選書 1050円 199ページ

  

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