「21歳の環境活動家」が学校にこだわり講演を続けてきた深い理由 露木志奈「若くても挑戦できることを伝えたい」

「気候変動をはじめとする地球環境問題について、もっとみんなに知ってほしい。状況を変えるために、自分たちにもできることがあるんだと気づいてほしい」

そんな思いから、全国の小中学校や高校、大学で講演活動を続けている若者がいる。大学生の露木志奈さんだ。現在、21歳。「Z世代の環境活動家」と、彼女のことを呼ぶ人もいる。
2019年9月に慶応大学環境情報学部に入学したが、しだいに「今は学ぶことよりも、行動することのほうが大切」という気持ちが強くなったという。そこで休学を決意し、20年11月から講演活動をスタート。主に教員同士の口コミでその評判は広がり、これまで約170校、約2万4000人(22年2月現在)もの未来世代に向けて講演を行ってきた。
世界中から人が集まる「グリーンスクール」の魅力とは?
その原動力はいったい何なのか。きっかけは、高校時代にさかのぼる。
露木さんは神奈川県横浜市の公立中学校を卒業後、インドネシア・バリ島にある「グリーンスクール」に留学した。「持続可能な世界を担うグリーンリーダーの育成」をミッションに掲げる学校だ。中学生のころからさぞ環境問題に関心が高かったのだろうと思いきや、グリーンスクールを選んだ理由について聞くと意外な答えが返ってきた。
「苦手だけれども好きな英語を話せるようになりたくて母親に留学の相談をしたら、『英語の勉強なら日本でもできる。ほかの勉強を目的に留学するなら賛成するよ』と言われました。それでインターネットで学校を探す中で出合ったのが、グリーンスクールです。直感で『この学校、何だか楽しそう!』と思いました。校舎はすべて竹でできていて、壁がありません。『こんな開放的な建物の中で勉強ができるなんて!』と、驚きとともにワクワクしました」

(写真左:露木さん提供、写真右:甲斐昌浩)
直感に導かれて決めた学校だったが、卒業して改めてここに入ってよかったと感じている。単純に“海外のインターナショナルスクール”とくくることができない新しい学校だと、露木さんは語る。
「校舎の造りから食堂で提供される食材まですべてのシステムが環境に配慮されていて、国語や数学など一般的な教科とは別に気候変動や環境問題という名前の授業もあります。また、教科書がないのでテンプレートに沿った学びは提供されません。どの授業にも必ず『体験』が盛り込まれていて、つねに五感を使いながら勉強していく点が面白かったですね。すべてが新しいからこそ幼稚園から高校生まで幅広く、世界中から人が集まってくるのだと思います」