「21歳の環境活動家」が学校にこだわり講演を続けてきた深い理由 露木志奈「若くても挑戦できることを伝えたい」
「ただし、子どもたちは私のことを『あなた、誰?』という目で見ます。そんな中でどう興味を持たせるかという点はハードルが高いですね」と、露木さんは笑う。

そのため講演では、バリ島のゴミ山やCOP、あるいは熱帯雨林の伐採が進むインドネシアのボルネオ島を訪ねたときなどの体験と、そこで感じたことを自分の言葉で語ることを意識している。
「データで伝えることも大切ですが、きっと小中高生の印象にいちばん残るのは、実体験を交えながら真剣に語る私の姿。『すごい熱量だな。何だか楽しそうだぞ』と私自身に興味を持ったことをきっかけに、環境問題について調べ始めるという入り方でもいいと思うのです」
同時に、若くても挑戦できることや、自分のような生き方の選択肢があることも知ってもらいたいので、日本の学校での成績はあまりよくなかったことなどパーソナルな部分も含め、自身の話をできるだけたくさんするようにしているという。
「各種の国際比較の調査でも、日本の若者は『自分で社会を変えられると思う』と回答する層が極端に少ないですよね。若い世代の意識を、私の講演によって少しでもよいほうに変えることができたのなら、とてもうれしいことです」
「それ、いいね」の肯定で、子どもたちは動き出す
しかし、この種の活動が難しいのは、成果がすぐには見えにくいことだ。それでも、講演を機に、「規格外の野菜を使った商品開発に挑戦し始めた」「環境問題のオンラインイベントを開催した」といったアクションを起こす例も、確実に出てきているという。
「ある小学校5年生の子どもたちは、私の話を聞いた後、給食のときにプラスチックのストローで牛乳を飲むのをやめて、学校の裏庭に生えている笹でマイストローを作ってみるといった行動を起こしてくれました。2度目に学校を訪ねたときには『ストローを使わずに牛乳を飲もう』というポスターまで作ってくれていて。そこに書かれていた『めんどくさくね?と言われても、環境問題のほうが1000倍面倒くさいと言えるようになろう』というコピーは面白さもあり、印象に残りました」
今後は講演活動を続けながら、実際に何らかのアクションを起こした児童生徒をサポートする活動にも力を入れていく。ZoomやSNSなども活用し、小まめにコミュニケーションを取るなどして伴走者の役割を担っていきたいという。

多くの学校に足を運ぶ露木さんの目には、今の日本の教育現場はどう映っているのか。
「私、日本の先生が大好きなんです。強い思いを持っている方が多くて、環境問題やSDGsについても子どもたちに伝えなければと考えている先生も多いと感じます。子どもたちにはぜひいろいろな探究や解決の選択肢があることを示してあげてほしいです。でも、学校の先生ってすごく忙しいですよね。だから自分がすべてを勉強して教えようとは考えずに、可能な限り、もっと外部の存在に任せられる環境が整うといいと思います」