「21歳の環境活動家」が学校にこだわり講演を続けてきた深い理由 露木志奈「若くても挑戦できることを伝えたい」

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グリーンスクールのクラスメート
(写真:Zissou)

「Independent Study」というユニークな授業もある。「もっと深く研究したい」というテーマがある生徒が、自分で授業をつくることができる科目だ。木からサーフボードを作る子、食べ物が体にどう影響するかを自分の体で実験する子など、テーマはさまざま。露木さんは妹の肌荒れをきっかけに、「ナチュラル」をうたっている化粧品が必ずしも肌にやさしい成分だけで作られているわけではないことに疑問を持った経験から、化粧品の研究開発に取り組んだ。

(左)口紅作りを研究(右)バリで行った口紅作りのワークショップ
(写真:露木さん提供)

「この授業は自分でカリキュラムを組み、メンターの先生も自分で探して交渉しなければいけません。化学の先生がメンターについてくれましたが、理科はいちばん苦手な科目だし、当初は英語も全然わからなかったので専門用語の多い化粧品の研究は大変でしたね。それでも自由度が高く自分のやりたいことだったので楽しく探究できました」

ゴミ山に衝撃を受け、COPでは若者たちに刺激を受ける

このように持続可能性について学ぶ機会が多い環境に身を置いたことで、露木さんはしだいに環境問題について真剣に考えるようになったという。とくに印象的だったのは、授業でバリ島の巨大なゴミ山を見に行ったときのこと。

「ほかの国や地域で処理できなくなったゴミが、バリ島に運ばれて山になっているようでした。本やインターネットなどを通じて知ってはいましたが、実際に目にすると衝撃的でした」と露木さんは振り返る。

この経験を機に環境問題への関心が高まり、校内で気候変動問題に特化した活動を行うグリーンジェネレーションというチームに入った。2018年にはメンバーと一緒に、ポーランドで開催されたCOP24(国連気候変動枠組条約第24回締約国会議)に参加した。

「COPの期間中、会場周辺ではさまざまなサブイベントが開かれます。私と同年代の若者も多くおり、中には中学生や小学生ぐらいの子も。大人の中には『仕事だから来ている』という感じの人もいて、若者のほうが気候変動問題に対して強い危機感を抱いているようにも見えました。スウェーデンの10代の環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんのスピーチを直接聞いたり、話したりする機会もありましたが、ここに集う若い世代との出会いはすごく刺激になりました」

COPで出会った若い環境活動家たちに大いに刺激を受けた
(写真:露木さん提供)

前述のとおり、露木さんは今、日本に戻り全国の学校で講演活動を行っている。社会を変えるには、できるだけたくさんの人に問題を知ってもらうこと、興味を持ってもらうことからすべてが始まると考えているからだ。

とくに若い人たちに自分の思いを届けることが重要と考え、学校で講演するという手段を選択した。SNSで情報発信しても、見に来てくれるのは興味がある人たちだけ。けれども学校で講演をさせてもらえれば、関心がある人とない人に振り分けられる前の段階の多様な人たちに直接アプローチできると考えた。

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