スズキ新型「スイフト」発表会見での鈴木修会長との一問一答、「円高は限界を超えてきた気がする」

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--急激な円高の影響と対策は。

鈴木会長 われわれが想像した以上の円高だ。ドルの問題、ユーロの問題、他通貨もあるが、総平均して1円で40億円違ってくる。しかも、前2010年3月期で言うと、2兆5000億円(売上高)のうち、約1兆円が国内、残り1兆5000億円が海外ということだから、6割くらい輸出比率がある。(円高は)業績にはもろに影響してくる。今は理論値で言ったが、予約が多少あるので、そのままストレートに今期の業績に影響するとは考えていないが、それにしても非常に大きな影響があるということだけは事実だ。

そういう点で、日本から(製品・部品を)持っていくのではとても採算が合わないということだ。例えば、インドでは現地調達比率が95%程度ある。やはり、現地調達の部品を多くすることがいちばんの基本だと思っている。かねがね言っている部品の共通化ということだ。

ただ、日本、欧州、インド、タイに限って言うと、共通化の一方で、その市場に合った部品に変えていくということ。ちょっと矛盾している点があるが、その辺の踏ん切りをどうしていくかが1つの大きな問題だ。いずれにしても、共通化(の比重)を多くしなければ、その国の価格には合わなくなる。この円高は極めて深刻に受け止めている。

--新型スイフトの生産を湖西工場(静岡県湖西市)から相良工場(同牧ノ原市)に移転する理由は。また、湖西はその分空くことになるが、対策は。

鈴木会長 スイフトを湖西から相良に移したのは、相良工場を造った時点(06年着工、08年稼働)でそういう計画だった。今回突然ということではない。小型車を相良で、軽自動車を湖西という分け方をして相良工場を建設した。

相良工場から15キロメートル程度しか離れていない御前崎港がようやく重要港湾の指定を受けたことも1つの理由だ。完成車をアジアへ出すときはコンテナや岸壁は必要ない。コンテナ(が必要な車)のほうを相良工場が担当する。「SX4」や「キザシ」などだ。

もう1つの理由は、湖西工場は第1~3工場あり、一部がかなり老朽化している。さらに言えば、湖西工場は一時、フル2勤で休日出勤3日、残業2時間というようなパンク寸前の状況だった。今も2勤でフル稼働である。能力以上で生産していたのであり、一部を相良に移すことでようやく湖西工場の平準化ができる。逆に相良工場はスイフトが入ることによってようやくフル稼働に入る。一石二鳥、三鳥になるという点では、バランスがとれたのではないか。こんな風に思っている。

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