中国は北朝鮮を止められるか 五味洋治著
「もっと圧力をかけるなど、何かできないのか」。核をはじめとして問題山積の北朝鮮に対し、中国が見せる姿勢は、日本や韓国などから見ると「もどかしい」。そんな中朝関係の歴史的・政治的構造が、本書を読めば一目瞭然にわかる。
「血で結ばれた関係」と称される中朝両国。だが、実際には「関係の冷めた夫婦が、家の外では完璧にむつまじい夫婦を演じているようなもの」と言う。
「影響力を北朝鮮に発揮すれば、それだけ責任を負う。今の中国には負担が大きすぎる」。中国の対北朝鮮政策がもどかしいのは、このためである。だからこそ中朝が「普通の二国間関係」になれば、北朝鮮は自立せざるを得ず、中国も「やっかいな隣人」に余計な力を割かなくて済む。そうなるのはいつのことか。
本書の第1章と第2章で筆者が描く、中朝国境地帯の生々しい実情に、思わず引き込まれる。情報が乏しい地域でもあり、これだけでも一読の価値はある。
晩聲社 1575円
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