物価目標2%を達成することが最終目的ではない 一問一答・中川順子日銀審議委員インタビュー

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-ポストコロナの金融政策運営

「2%の物価安定目標の実現に向け、イールドカーブ・コントロール政策による緩和的な金融環境で経済・物価を支えていくやり方は、経済を下支えする効果があった。当然、必要な時はちゅうちょなく行動を起こすが、3月の政策点検で示したように、長期金利がゼロ%近傍で安定的に推移する下で、需給ギャップの改善とプラスの物価上昇率の定着という効果を発揮してきている一方、国債市場の機能度などへの影響も出ている。経済には連続性があり、ある時点を境にポストコロナに移るわけではないため、引き続き、物価安定目標の実現に向けて、イールドカーブ・コントロールの下で、副作用にも十分配慮しながら強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが重要と考えている」

-ポストコロナのイールドカーブ

「経済を支える効果と金融仲介機能への影響も考えながら、その時々で適切なイールドカーブの形成を促していると理解してほしい。この1年半くらいは感染症の影響という非常に繊細な環境だったが、適切に対応してきたと思う。今後も繊細な環境が続くと見込まれる中、2%の物価安定目標を実現できる経済活動や成長に向け、次の施策を決める場合には、そうした環境を引き続き考慮していく必要がある」

-物価2%目標の妥当性と見直しの必要性

「安定的な経済成長や国民生活の安定のための物価目標であり、物価だけを2%にすることが最終目的ではないということを考えれば、1%への引き下げなど数字を変えること自体に大きな意味があるとは思わない。ぴったり2%ではなく、当然振れがあるので、その中でどのくらいを中央値として置きたいかといった場合の2%は、資本主義をベースとしている国において違和感はないと思う。確かに2023年度までの展望リポートの見通し期間内には達成できない見込みだが、足元では原油高や為替の影響などで食料工業製品などの値上げもあり、ずっとゼロ%近辺という感じではなく、少し上昇圧力が強まっている。市場関係者やエコノミストの間では、前倒しでもう少し高い数字になる可能性を見込む見方も出てきている中、物価動向を注視しながら、粘り強く適切な金融緩和を続けていく」

 Source: Bloomberg Economics
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