「スクールロイヤー」学校問題解決の悩ましい実情 「教員兼弁護士」が語る配置の理想形とは?

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弁護士に相談できる制度があれば、保護者は学校との上手な交渉の仕方を教えてもらったり、代わりに学校側の弁護士と話をつけてもらったりできる。そのほうが問題は長期化せず、学校も保護者も負担が少ないはずです。

方法としては、第三者機関の設立がよいと思います。スクールロイヤーが常駐し、学校と保護者、両者の相談に中立的な立場で応じ、解決案を示すようなシステムをつくるのです。できれば、教員も労働問題を相談できる体制が理想。学校や教育委員会から独立した財源で運営すれば弁護士の利益相反も起きにくいので、自治体直下でつくるのが望ましいですね。

3つ目は、「チーム学校」の一員として他職種と連携すること。情報を一元化できていない教育委員会は多く、例えば現状では、スクールロイヤーとスクールカウンセラーは同じ案件について別々のルートで相談を受けています。ほかの専門家の見立てを知りたい場合、スクールロイヤーから働きかけないと教えてもらえません。

そのため、先ほど申し上げた第三者機関に、カウンセラーやソーシャルワーカーなども常駐させて情報共有を図るのがよいと思います。今、実際に教育委員会の中にカウンセラーと弁護士資格のある人間で部署をつくり、問題解決の仕組みづくりを進めている自治体もあります。

ただ、明らかに人材不足かつ議論不足で、全国での理想の実現には程遠いと感じています。私も少しでも、よりよい環境づくりに貢献できればと思っています。

神内聡(じんない・あきら)
兵庫教育大学大学院学校経営コース准教授・弁護士。東京大学法学部卒業。東京大学大学院教育学研究科修了。専修教員免許(社会科)保有。日本で初めて弁護士資格を有する教員として私立中高一貫校に常勤教諭として勤務(現在は非常勤)しながら、現場の実情に通じた弁護士として各地の教育委員会のスクールロイヤーなどを担当。現在は教職大学院で理論と実務の懸け橋を意識した教育学研究にも従事
(撮影:泉智氏)

(文:田中弘美、注記のない写真はbee/PIXTA)

制作:東洋経済education × ICT編集チーム

東洋経済education × ICT

小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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