従業員が告発「アマゾン創業者の宇宙会社」の恐怖 21人が性差別や恐怖政治が横行を訴えた

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アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏が率いる宇宙会社、ブルーオリジンに対して従業員から告発の声が上がっている(写真:Nick Cote/The New York Times)

アマゾン・ドット・コムの創業者で世界屈指の富豪でもあるジェフ・ベゾス氏が創業したロケット会社ブルーオリジンに対し、従業員から告発の声が上がっている。性差別がはびこり、上司への反論は許されず、安全対策も杜撰、というのだ。

告発は21人の従業員と元従業員が9月30日に「ライオネス」というウェブサイトに告発状を掲載する形で行われ、その中には複数のブルーオリジン幹部がセクシュアルハラスメントを行っていたとする訴えも含まれている。

21人のうち名前を明かしているのは、元従業員1人だけだ。告発状には、宇宙船ニューシェパードには安全上の懸念があるとする記述もあった。7月にベゾス氏ら4人が弾道宇宙飛行を行った宇宙船だ。

「自分ならこの宇宙船には乗らない」

告発状は「本告発状に署名した1人のエンジニアの見解によれば、『ブルーオリジンでこれまでのところ事故が起きていないのは運がよかったからだけだ』」と指摘した。「告発者の多くは、自分ならブルーオリジンの宇宙船には乗らないと語っている」。

ニューシェパードによる2回目の飛行は10月12日に予定されており、料金を払って搭乗する4人の乗客のうちの1人は、飛行する予定に変更はないと話した。

「ブルーオリジンの安全プログラム、機体、これまでの実績を信頼している。そうでなかったら、搭乗などしない」。フランスのソフトウェア企業ダッソー・システムズで生命科学・医療担当の副会長を務めるグレン・デフリース氏はツイッターのメッセージでそうコメントした。「私は発射場に行ったこともあるし、同社のあらゆる階層の人たちとも会った。どこを見わたしても、すばらしいチームや企業文化であることが伝わってきた」。

搭乗が発表されているもう1人の乗客、衛星会社プラネット・ラブズの共同創業者クリス・ボシュアイゼン氏にもコメントを求めたが、返答はなかった。

氏名を公表して告発を行ったアレクサンドラ・エイブラムズ氏は、以前ブルーオリジンで従業員向け広報の責任者を務めていた人物で、2019年に解雇されている。同氏は30日、朝のテレビ番組「CBSモーニングス」にも出演した。

「恐怖の文化と同時に安全の文化をつくることはできない」とエイブラムズ氏はCBSに語った。「両立しえないものだからだ」。

ブルーオリジンの広報担当は声明で、エイブラムズ氏は連邦輸出管理規制に関連する問題で警告を繰り返し受けた後、2019年に正当な事由で解雇されたと述べた。エイブラムズ氏は、口頭でも書面でも警告を受けたことは一切ないと話している。

ブルーオリジンは、企業文化や安全性に関する告発にも異を唱えている。

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