最初の目玉「デジタルの日」縦割り打破は教育でも デジタル庁、10月10日・11日を記念日に設定
その発足第1弾として見せたのが、デジタル庁をはじめ総務省、文部科学省、経済産業省が一緒に行ったGIGAスクール構想の調査だ(デジタル庁「GIGAスクール構想についてのアンケートの取りまとめ結果」)。児童生徒約21.7万件、教職員・保護者約4.2万件の意見を集めた大規模なアンケートで、GIGAスクール構想で配備された「小中1人1台」タブレットの使用で困っていることや課題、工夫などについて聞いている。
興味深いのは、自由記述式の回答をAIなどによってテキスト解析していることで、意見の内容も具体的、詳細に開示されているのに加え、回答の傾向についても細かく分析されていることだ。
「ネットワーク回線が遅い」「持ち帰れない、使う授業が限られている」「教科書をデジタル化してほしい」「教職員のICT活用のサポートが必要」「教職員端末が未整備・古い」「効果的な活用事例を発信してほしい」などの主な意見については、それに対する施策の方向性も示されている。これまで見られなかった調査形態、技術も取り入れて、タブレット活用の現状を広く、詳細に把握してスピーディーに対策を講じるとともに、現場ならではの工夫やアイデアを吸い上げて全国に共有しようということだろう。
まさにデジタル庁が音頭を取って進めた最初のアウトプットといえるが、やはり最も期待されているのは教育データの利活用である。GIGAスクール構想によってインフラが整った今、教育のDXはようやくスタートラインに立ったばかりだが、ここからが本番というわけだ。
「まずはデジタルデータの規格統一をしなければならないが、それ以前に校務データをデジタルデータにする必要があり、クラウドに上げてもらわないとならない。例えば、児童生徒の出欠情報や、身長・体重などの保健情報がデータ化されれば、教員の負担軽減になるし、遅刻や早退の増加を早めにつかむことができれば不登校を予見できるかもしれない。だが、いまだに反対意見も多く、データを蓄積、活用することが子どものよりよい指導やトラブルの未然防止につながるなどのメリットを理解してもらう必要がある。その意味でも各省庁のキーパーソンが集まり、関係省庁を束ねることができるデジタル庁の存在は大きい」
こう平井氏も期待を寄せる。データを蓄積、分析して活用するとなると漠然とした不安を抱く人が多いことも事実だが、日本は教育分野におけるICTの利活用が世界で圧倒的な最下位(PISA〈国際学習到達度調査〉2018)にある。多難な船出となりはしたが、デジタル庁には教育のデジタル化にもスピードを緩めることなく取り組んでいってほしい。
(文:編集チーム 細川めぐみ、國貞文隆、注記のない写真:風間仁一郎)
制作:東洋経済education × ICT編集チーム
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