米軍のアフガン撤退完了、20年の軍事的関与に幕 軍事介入開始と撤退時の支配者が同じという悪夢
米国は31日、アフガニスタンでの軍事駐留を正式に終了した。最後の軍用輸送機が首都カブールを去った。2001年9月11日の米同時テロを契機とした20年もの軍事的関与に幕を下ろした。
米中央軍のケネス・マッケンジー司令官は米国時間30日午後、「アフガンからの撤収完了と、米国民や第三国の国民、脆弱(ぜいじゃく)な立場のアフガン人の退避の軍事ミッションの終了を発表する」と表明。「要員を乗せた最後の飛行機が現在、アフガン上空を通過中だ」と述べた。
米国史上最長の戦争は、今月14日以降で12万3000人余りを急きょ退避させて終了した。イスラム主義勢力タリバンのカブール進攻があったほか、先週にはカブールの空港周辺での自爆テロにより、米兵士13人が死亡した。
アフガンでの戦争開始以来、米国民約2400人および多数のアフガン人が命を落としたほか、米国は約1兆ドル(約110兆円)を費やした。戦争の長期化によって、アフガンの人口の多くは戦争のない時期を知らぬまま育ち、先週の自爆テロで死亡した米兵の大半は、01年の同時テロでニューヨーク・マンハッタン南端のワールドトレードセンタービル南北両棟が崩壊した際にはまだ幼児だった。
バイデン米大統領は声明で今月31日の撤収期限について、「空輸作戦を計画通り完了させることが、統合参謀本部および現地軍司令官全ての一致した勧告だった。米兵の生命を守り、向こう数週間。数カ月にアフガンを離れたいと望む人々の出国の展望を確保するには軍事ミッションの終了が最善策であるというのが一致した見解だった」と説明した。
大統領は31日午後にアフガン撤収に関して全米向けに演説を行うことを明らかにするとともに、「タリバンが安全な通行について約束しており、世界は彼らにしっかりこの約束を守らせる」と強調した。アフガンの実権は今やタリバンが掌握している。
マッケンジー司令官は、アフガン出国を望む「100人台前半」の米国民が軍の輸送のための空港到着に間に合わなかったことを明らかにした。米国民を残したまま米軍が撤収したことで、バイデン政権が民主・共和両党議員から批判を浴びるのは確実な情勢だ。
米国は軍の撤収後も米国民のアフガン出国を引き続き支援するとしているが、バイデン政権がそれをどのように実行できるかは不明だ。
ホワイトハウスのサキ大統領報道官は30日、「われわれのコミットメントは変わるものでなく、米軍撤収に当たっても揺るぐことはない」と指摘した。
このほかブリンケン米国務長官は、アフガンからの退避を望む米国民は200人未満であり、人数は100人に近いものとなりそうだとの認識を示した。
ブリンケン長官はさらに、米国がアフガンで行っていた領事館の機能をカタールの首都ドーハに移すとした上で、米国として対アフガン人道支援を続けるが、タリバンとのいかなる関与も米国の国益のみを根拠とする方針を表明した。
一方、タリバンの急速な進攻を予測できなかったことに加え、先週の自爆テロで米兵13人が死亡したことがバイデン政権に及ぼす長期的な政治的ダメージは、まだはっきりとしていない。
ただ、撤収完了までわずか数日を残して多くの米兵の人命が失われたことは、政権にとって容易に乗り越えることができるものではないだろう。
今、結論として言えるのは、米軍特殊部隊が01年に初めてアフガンに到着した際、同国が再びタリバンの支配下にある状況で同時テロ20年を迎えることを予想した米指導者は皆無である点だ。
原題:U.S. Troops Exit Afghanistan After 20-Year Military Presence (4)、Blinken: Less Than 200 Americans Still Want to Leave Afghanistan(抜粋)
(ブリンケン国務長官の発言などを追加して更新します)
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著者:Jennifer Epstein、Anthony Capaccio
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