「教科担任制」本格導入へ、学校の機運高まらず 早めの対応カギ、時間割作成に3カ月の学校も

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こうした状況下で、教科担任制の導入は広がっていくのか。元帝京大学・帝京科学大学教授で明海大学客員教授の釼持勉氏は「目の前の仕事に追われて、教科担任制導入への意識が薄い学校も多いが、学校が自ら考えて、来年4月の本格導入に向けて動き出す必要がある」と訴える。

教科担任制に期待されるメリットは、以下の4点が主に挙げられてきた。

1. 専門性の高い教員による高度な学習を含めた指導力向上と児童の学力向上
2. 複数教員の関与による児童の多面的な理解
3. 中学入学後の環境変化に戸惑う「中1ギャップ」の解消
4. 授業準備のための時間の確保と、準備作業の削減による働き方改革
明海大学 客員教授 釼持勉(けんもち・つとむ)
千葉大学教育学部卒。兵庫教育大学大学院修士課程修了。福島県立西会津高等学校、東京都文京区立明化小学校、北区立滝野川小学校、杉並区立高井戸第四小学校、荒川区教育委員会指導主事、教育庁指導部指導主事、東京都立教育研究所指導主事、東京都教職員研修センター統括指導主事、国立市立国立第七小学校長、小金井市立小金井第一小学校長、帝京大学教育学部初等教育学科教授、帝京科学大学教育人間科学部教授を経て現職
(写真は釼持氏提供)

専科教員の配置による専科指導拡充だけでは、きめ細かな指導、多面的な児童の理解といった教科担任制の目的が十分に発揮できるかという疑問もある。「導入する以上は、きちんと児童のためになるようにすべき」と釼持氏は語る。

釼持氏がアドバイスを行っている東京・江戸川区立第四葛西小学校(校長:永浜幹朗氏)は、区教育委員会から教育課題実践推進校に指定されて、今年度から学年内の担任教員と専科教員で教科を分担する教科担任制を3年生以上で実施している。

学活や体育、総合的学習、道徳などは学級担任が担当。音楽や図工などは専科教員、算数は東京都の小学校で従前から実施されている習熟度別少人数クラスが受け持ち、国語や社会、理科などの科目については学年の教員同士の調整で教科担任を決めている。

時間割は教務主任が作成したが、学年ごとに教科担任を決める調整などもあり、結局、約3カ月もの期間を費やしたという。釼持氏は「来年4月から教科担任制を導入するなら、時間割作成だけでも年内に準備を始める必要がある。年度末に教育委員会に届け出る来年度の教育課程(各校の教育計画)も含めれば、さらに早く始めなければならないだろう。学校規模に応じて教科担任制のあり方に配慮する必要もある」と話し、早急に啓発し、取り組むべきポイントを挙げる。

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