東急ハンズ「中の人」が語る"宣伝と雑談"の黄金比 宣伝一辺倒の投稿は、ツイッターでは逆効果

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私はこれらの商品の多くを自分で購入しています。そう、このシリーズは私が気に入った商品を紹介しているので、結局、ついつい買ってしまうし、ちゃんと商品のよさを理解して紹介したいという思いもあります。自分のお財布にはよろしくない企画ですが、それが私のこだわりでもあるのです。

手間を惜しまないこと、現場に足を運ぶことが大切であるのと同時に、時として自腹を切って商品の良しあしを体感することもとても大切です。

『共感で広がる公式ツイッターの世界:東急ハンズ流企業アカウントの育てかた』(三笠書房)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

戦略的に新製品をプッシュしてほしいと依頼され、紹介することもありますが、それもバランスが肝心です。フォロワーさんはハンズが売りたい商品の情報を知りたいわけではありません。それではただの押し売りです。

私がもし一ユーザーの立場だったら、商品をプッシュする一方的なツイートには興味が湧きません。それをされてもフォローはしないでしょう。

では、東急ハンズで働く「中の人」が、そのポジションだからこそ知っている、自分たちが気づいていない隠れた実力派の商品を紹介してくれるとしたらどうでしょう。多くのフォロワーさんが知りたい情報というのは、自分がフォロワーさんの視点に立ってみなければ、わからないものだと思います。

フォロワーさんからありがたいツッコミも

前にこんなことがありました。まだ10月だというのに急に冷え込みが厳しくなって「ええっ! 明日のトーキョーの最高気温は12度なのかい?」とツイートしたら、フォロワーさんから次のようなありがたいツッコミが入りました。

ここで手羽さんとこのぬくぬくオススメ商品カモン!
(写真:東急ハンズ公式ツイッター担当者(@TokyuHands))

最初の私の投稿は、商品紹介を意図したものではありません。しかしフォロワーさんは「東急ハンズならこういうときに役立つ商品を紹介してくれるはず」と期待してくれているからこそ、自然な流れでこうツッコミを入れてくれたのだと思います。

企業の公式アカウントはともすると企業情報を一方的に提供する内容になりがちです。自分からフォロワーの視点に立ってみて、自分がされたらうれしいことを考える(されて嫌なことはしない)。この視点を忘れたくはありません。

どうしたら喜んでもらえるか。いつもそれを考えてツイートする「中の人」であり続けたいと思っています。

東急ハンズ公式ツイッター担当者(@TokyuHands)
とうきゅうはんず こうしきついったー たんとうしゃ / TokyuHands official twitter

1995年東急ハンズに入社。店舗、情報システム、営業企画などを経て、IT企画部在籍中の2009年に、東急ハンズの公式ツイッター「中の人」としてソーシャルメディア戦略に深く関わる。同年ツイッターを利用した商品検索サービス「コレカモネット」の開発に携わり、2010年より「東急ハンズネットストア」店長としてEC事業を推進。その後、店舗や営業企画部でリアル店舗のマーケティング戦略立案を牽引した後、デジタル戦略部でデジタルマーケティングやDX戦略に携わり、現在に至る。また、SNS担当者向けのセミナーや講演会で講師を務めるなど、企業の公式ツイッター“第一世代"を代表する「中の人」として、各社から注目を集める。

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