日本の高校・大学に広がる「米ミネルバ式」思考法 リクルート提供、清泉女子大は再編集して導入

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ミネルバのプラットフォームを活用した授業。ディスカッションを経て、自分の意見が変わったのかを問いかけ新たな結論を導き出している様子。上部には、一番左の講師に続き参加者が表示され、それぞれピックアップされた意見に対して賛成、反対を絵文字で表示できるようになっている。右側のチャットでは先生への簡単な質問や、ついて来れない生徒のフォローができるなど、授業を止めずにコミュニケーションが取れる。宿題のやり取りや評価もプラットフォーム上で完結。毎回の授業でのフィードバックが納得感と学習効果を生むという

日本におけるミネルバの教育プログラムの導入はまだ緒に就いたばかりだが、ヒトラボは今後、とくに高校を中心に事例を増やしていきたいという。1人の先生がミネルバのプログラム講師になれば、オンラインで複数の学校の生徒に教えることができる。人口減少が進む地域や離島でも、先進的な高等教育を受けることが可能になる。

今夏、ヒトラボ は講師養成のプログラムを本格的にスタートさせるとともに、ミネルバ大学の現役学生が授業を行う全国キャラバンの支援も予定しているという。昨年も行われたこのキャラバンには、かえつ有明中学・高等学校、自由ヶ丘学園高等学校、熊本県立熊本高等学校などの10校をはじめ個人の申し込みもあり全国400名の高校生が参加した。オンラインでの実施になるため新型コロナウイルスの影響を受けることもなく、今年も多くの高校生の参加が見込まれそうだ。

ミネルバの考え方をカリキュラムに取り入れた清泉女子大学

一方、ミネルバのプラットフォームを使わずに、ミネルバ式のカリキュラムをスタートさせたところもある。清泉女子大学の文学部地球市民学科だ。ミネルバ大学に関心を持ち、新カリキュラム導入をリードする同大学 教授の山本達也氏を中心に、ミネルバの思考法を再編集したという。2015年から17年までミネルバ大学の日本連絡事務所代表を務め、現在は清泉女子大学文学部地球市民学科の顧問を務める山本秀樹氏は、こう話す。

山本秀樹(やまもと・ひでき)
1997年慶応義塾大学卒業。東レを経てブーズ・アンド・カンパニー(現・PwC Strategy&)入社。2008年英ケンブリッジ大学経営管理学修士(MBA)修了。その後、住友スリーエムを経て14年に独立。15〜17年までMinerva Schools at KGI(ミネルバ大学)日本連絡事務所代表を務める。現在は、最新の教育事例を研究して発信するDream Project Schoolを主催するとともに清泉女子大学文学部地球市民学科顧問、第一学院高等学校顧問、ビジネスブレイクスルー講師なども務める
(写真:本人提供)

「清泉女子大学文学部地球市民学科では、今年4月からミネルバの考えを反映させたカリキュラムをスタートさせています。なぜできたのか。それは学科定員60名と少人数で、1クラスは20名程度と、先生と学生の距離が近くやりやすかったということもあるでしょう。しかし、そもそも各学校には自分たちが育成したい人材像があるはず。清泉女子大学でもミネルバのコンセプトを再編集して、自分たちの目的に合わせてカリキュラムをつくり直して実践しています。先生たちは、こんなに面白いのに、なぜほかの大学では採用されないのかとおっしゃっていますね」

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