主体性や協働性を育む「子どもの権利」の伝え方 「権利条約」批准国ながら周知不十分な現状

✎ 1〜 ✎ 4 ✎ 5 ✎ 6 ✎ 最新
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

――挙手制にすると、人気のない掃除場所は人手が不足しませんか。

どんなに人数が偏ろうとそのまま希望どおりにやらせます。その代わり、掃除が終わった後に必ず振り返りの時間を設けます。すると、「人が多すぎてやることがない」「うちは人がいなくて時間内に終わらない」という意見が出てくる。そこで僕が「これはみんなで考えないといけないね」と言うと、子どもたちは譲り合って調整していきます。こうした経験が、社会に出てから生きてくると思うんですよね。

現在持ち上がりで2年生の担任をしていますが、集中すべき時間に騒がしくなってしまった際、「みんなの学ぶ権利を奪っちゃ駄目なんだよ」なんて言葉が子どもから出てくるようになっています。先日はボールの片付けを押し付けられた子に、心配して付き添ってあげた子がいました。みんなが安心して過ごすためにはどうしたらいいのかを子どもたちなりに考えてくれているのかなと思います。

これまで教育現場では「子どもたちは未熟であり、教員によって教えられ成長する存在」という認識の下、知識伝達型の一斉授業や担任主導の学級経営が行われてきました。しかし、僕は「子どもたちは、自らの体験とその振り返りを通して気づきを得る中で、つねに学び続ける存在である」と考えます。新学習指導要領もそういった自律的に学ぶ子の育成を目指していますよね。学校や教員は子どもたちを「小さな大人」と捉えて権利を保障し、権利を有していることも伝えていくべきではないでしょうか。

田中光夫(たなか・みつお)
1978年生まれ、北海道出身。東京都の公立小学校教員として14年間勤務。2016年、主に病気休職の教員の代わりに担任を務める「フリーランスティーチャー」となる。これまで公立・私立合わせて延べ11校で講師を務める。NPO法人「Growmate」理事としてマーシャル諸島で私設図書館建設にも携わる。近著に『マンガでわかる!小学校の学級経営 クラスにわくわくがあふれるアイデア60』(明治図書)
(写真:田中氏提供)

(文:編集チーム 佐藤ちひろ、注記のない写真はiStock)

制作:東洋経済education × ICT編集チーム

東洋経済education × ICT

小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事