郵政改革法案は、邦銀の信用力にマイナスの影響も《ムーディーズの業界分析》

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 JPBは多額の有価証券を保有しており(09年12月時点で180兆円、総資産の92%)、その大半が国債(同159兆円、総資産の81%)で、それ以外は地方債や社債から構成されている。ムーディーズは、JPBが国債(発行残高705兆円)の大規模な買い手である、というプロファイルは今後も変わらないとみている。

一方、JPBの国内法人・リテール向け貸出市場での地位は依然として極めて低く(09年12月時点で貸出残高は4兆円と、総資産の2%にすぎない)、その大半は大企業向け貸し出しであるとムーディーズはみている。国内経済における企業資金需要の伸びが限定的である点から、JPBと民間銀行との競争が国内貸出市場において激しくなることはないであろう。

郵政改革法案の骨子が発表された 3月24日、全国銀行協会、全国地方銀行協会、第二地方銀行協会、全国信用金庫協会、農林中央金庫(JAバンクグループの中央機関)は、新たな郵政改革案について、強い反対を表明している。こうした意見や閣議における議論次第では、法案が修正される可能性もある。

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