「不登校児に居場所を」22年間貫き通した信念 絶対的な味方になることで子どもの心は開く

日本初の公設民営フリースクール「スマイルファクトリー」創立者、全国約100の社会的企業・NPOの連盟組織「新公益連盟」代表理事。東京大学法学部卒業後、松下政経塾に入塾。教育改革をテーマに国内外100以上の教育現場を経験し、1999年に沖縄でフリースクールの立ち上げに参加。2003年に大阪・池田市でスマイルファクトリーを開設。07年には通信制高校と連携し、高校卒業資格が取得できるハイスクールも設立する。11年からは東日本大震災で被災した子どもたちの支援事業も展開。内閣府休眠預金等活用審議会専門委員、文部科学省フリースクール等検討会議委員なども務める
「“1人1台PC”の環境は、それぞれに合ったやり方で学べる可能性を大きく広げると考えています。例えば読み書き障害があって字が書けなくても、キーボードや音声で入力できることで能力を大きく伸ばすことができる。発達の凸凹が大きな子たちの学びの機会も広がります。逆に、教える側が使い方を規定しすぎてしまったり、従来と変わらない一斉授業での利活用にとどまってしまったりすると、可能性を狭めてしまいかねません。教員の皆さんにも、一人ひとりに合った学び方を探す絶好機だと捉えていただけると、たくさんの子どもが助かると思います」
逆にいうと、白井氏が指摘するように、ICTの活用によって十把ひとからげではない一人ひとりに合わせた教育を模索していくことが、学校に求められているといえよう。その模索のプロセスを、子どもたちと共有することも大切だと白井氏は指摘する。
「超がつくほどの情報化社会が到来している中で、コロナ禍の状況もあり、残念ながら時代の動きに教育は追いついていません。これは日本だけでなく、世界中どこでも同じです。このことを子どもたちと共有したうえで、ともに模索していこうというスタンスを示したほうが、信頼関係を構築しやすいと思います。明確な正解はないという現状を認めたうえで、子どもたちと一緒にそれぞれに最適な教育を探していくことが、子どもだけでなく、世代を問わず自分の能力をしっかり磨いて伸ばすことのできる社会の実現につながるのではないでしょうか」
今の学校の管理職を務める世代はICTに疎い人も多く、子どもたちはデジタルネイティブだ。今こそ教員に柔軟な発想が求められているのかもしれない。
(写真:NPO法人トイボックス 今中裕司)
制作:東洋経済education × ICT編集チーム
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