立教大「国内初AI特化大学院」、文系半数の意外 従来技術と違い誰もが2年間でモノにできる

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中央教育審議会も大学院を“知のプロフェッショナル”の場にしようと強調していますが、これからの大学院は専門分野の越境をどれだけ行っていくかがポイントになるでしょう。とくにどの分野もAIなしではやっていけない時代ですから、本研究科はAIの専門家というよりも、AIを使って社会課題を解決できる人材、つまり、エンジニアよりもプランナーやプロデューサー的な人材を輩出していきたいと思っています」

AIは文系でも2年あれば学べる

こうした考えから、幅広く学生を集めることにしたわけだが、実際、1期生となる20年度の入学者のバックグラウンドは、狙いどおり多様だ。75名の入学者のうち、文系と理系の割合はほぼ半々。社会人が約7割を占め、IT業界だけでなく、会計士や弁護士、医師、シンクタンク、マスコミ業、金融業、中学校の教員などさまざまな人材が集まった。

拠点の池袋キャンパスにて。1期生はさまざまなバックグラウンドの学生がそろった

今の仕事でAIを活用して新たなサービスをつくり出したい、そのためにテクノロジーの基本を学びたいという動機で入学した学生が多いという。しかし、はたしてAIは文系でもマスターできるものなのだろうか。

「今、AI研究の中心となっているのはディープラーニングですが、実用化が進んだのはこの7~8年で、技術としてはまだ発展途上の段階にあります。そのため、科学的な考え方や基礎的なプログラミング技術がある程度備わっていれば1年程度、そういった基礎がない人でもやる気があれば2年で最先端の領域にたどり着くことができます」

実際にそれが可能となるよう、カリキュラムは入学者のバックグラウンドが異なることを前提に設計した。通常、理系の大学院では研究がメインとなるが、同研究科では学部のように基礎的な知識を教える講義科目や実習科目も充実させているという。ただし、文系を甘やかすようなカリキュラムにはしていない。「確かな能力を身に付けて卒業してもらうため、内容は理系と同等。にもかかわらず、皆さん食らいついて本当によく頑張って勉強されています」と、内山氏は話す。

また、AIの社会実装に参加しやすい点も同研究科の大きな特長だ。NTT東日本と豊島区が進めているスマートシティプロジェクトや西武ライオンズとの共同研究、無人店舗の運営など、産官学の連携が多い。さらに教授陣も多彩で、宇宙物理学を研究する傍らAIベンチャーを立ち上げている内山氏のほか、ビッグデータに詳しい経済物理学専門の大西立顕氏や、現在スクウェア・エニックスでゲームAIの開発を担う三宅陽一郎氏など、社会と関わりの深いメンバーが名を連ねる。

学部生や高校生の関心も高めていく

20年度は研究科開設と同時にコロナ禍に見舞われ、当初から授業はほぼオンラインとなった。しかし、コロナ禍以前から、ZoomやビジネスチャットのSlackをコミュニケーションツールとして使うことを決めていたので、とくに大きな問題はなかったという。

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