立教大「国内初AI特化大学院」、文系半数の意外 従来技術と違い誰もが2年間でモノにできる

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
2020年春、立教大学大学院では「人工知能科学研究科」がスタートした。大学院でのAI(人工知能)に特化した研究科創設は、国内初の試みとなる。注目されているのはそれだけではない。AIといえば理系の研究者というイメージが浮かぶかもしれないが、1期生の応募には会社員から士業、教員まで業界を問わずさまざまな社会人が殺到し、文系出身者も多く集まったのだ。同研究科の狙いやカリキュラムの内容とは。取材から、改めてSociety 5.0時代に求められる人材像が見えてきた。

目指すのは、「AIの民主化」

立教大学大学院「人工知能科学研究科」は、国内の国公私立大学院の中で初となる、AI特化型の大学院だ。研究科開設の狙いについて、同研究科委員長の内山泰伸氏は次のように語る。

「ご存じのとおり、AIは働き方なども根底から変えうる、今後の社会にとって重要な役割を担う技術です。しかも、これまでは最先端技術といえば一部の研究者たちが高度な研究開発を担っていましたが、AI研究はそれとは決定的に違う。あらゆる人が技術開発に参加できるチャンスがあるという、今までになかった技術なのです。

なぜならAIは基本的にソフトウェアだから。相対的に多大な設備投資の必要がなく、誰もが手軽に自分のパソコンからオープンソースで最先端へとダイレクトに関わることができるのです。つまり、AIは民主化できる技術。私たちは、この“AIの民主化”を進めていきたいと考えています」

内山泰伸(うちやま・やすのぶ)
立教大学大学院人工知能科学研究科委員長。2003年東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。イェール大学、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、スタンフォード大学などで宇宙物理学の研究活動に従事し、13年立教大学理学部准教授に着任。16年より同教授。20年より現職。高エネルギー天文学を専門とし、近年は応用人工知能研究を推進。日本天文学会第21回研究奨励賞、公益財団法人宇宙科学振興会第5回宇宙科学奨励賞受賞

そこで、同研究科では、文系、理系、学部4年生、社会人を問わず、学生を集めることにしたという。授業も平日の夜間(18時55分~)と土曜日を中心に開講するなど、社会人でも通いやすい環境にした。

「通常、AIの専門学科をつくるとなれば、理系の学生を中心に集めるイメージですが、私たちは理系の研究と文系のコミュニティーをつなげることによる、新たな価値創造を目指しています。私自身、理系の世界で生きてきましたが、本当に役立つ商品やプロダクトを生み出すためには理系だけでは限界があると感じてきました。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事