決定間近?新型「台湾新幹線」は誰が造るのか

入札は一度キャンセル、どんな車両になるのか

どのような車両を導入しようとしているのか。高鉄の担当者が東洋経済の取材に対して明かした仕様は、「世界の高速鉄道技術開発の最新動向を考慮し、新世代の傾向に沿った車両」というものだった。

台湾高速鉄道の運行指令所などが入るビル。桃園駅のそばにある(記者撮影)

2017年6月、高鉄は高速鉄道車両を製造する世界の主要メーカーに新型車両製造の意向を打診。車両の製造、補修部品の提供、保守などに関する意向表明書を提出してもらい、2019年の2月に入札を開始した。政治的な理由から中国のメーカーは入札から外されたもようだ。

高鉄は入札要件の詳細を明かさなかったが、鉄道業界の国際動向に詳しいポーランドの専門誌「RYNEK KOLEJOWY(RK)」の1月3日付記事によれば、高鉄は2024年運行開始予定で1編成12両の新型列車12編成を導入し、さらに4編成を追加で導入するオプションがある。トータルの製造費は360億台湾ドル(約1339億円)を想定。これを8編成で割れば1編成当たりおよそ167億円ということになる。700Tと比べるとかなり割高だが、製造数が少ないことから量産効果が働かないことや1編成当たりに割り当てる開発費が高くなることが理由と思われる。

入札開始から1年後の2020年2月、入札はキャンセルされた。入札が不調に終わった理由について、高鉄の担当者は「入札者から提出された内容が要件を満たしていなかった」としか説明していないが、「日本側が列車制御システムに関する特許を保有しており欧州メーカーの参入が難しい」と報じる台湾メディアもある。

日本連合の提示額は…

現状はどうなっているのか。高鉄の担当者は、「戦略の見直しを行い、2020年8月に改めて入札を行った。現在は、当社の規定に従って新たな車両の購入を進めている」と説明する。メーカー名は明かされていないが、RK誌によれば、日立と東芝の2社連合だという。

気になるのは車両の製造費だ。RK誌によれば日本連合が台湾高鉄に提示した1編成当たりの価格は50億台湾ドル(約186億円)。高鉄が想定した価格よりもさらに割高だ。現地メディアによれば、高鉄は日本連合に対して値下げを要求しているという。

JR東海の新型新幹線N700S。東海道・山陽新幹線の16両編成だけでなく、写真の8両編成などさまざまな編成長に対応できる構造だ(撮影:尾形文繁)

価格も含め、高鉄と新型車両の交渉を行っているかどうかについて、日立に問い合わせてみたが、その回答は「弊社としてコメントできるフェーズにはない」というものだった。

なお、日立はJR東海の新型新幹線「N700S」の製造も担当している。700Tが700系をベースに開発されたのと同様に、高鉄に導入される新型車両はN700Sがベースになるという可能性はあるのか。この点についてJR東海に聞いてみたが、「当社は入札の当事者ではないので、お尋ねの内容についてはお答えする立場にない」とのことだった。

台湾の高速鉄道について、台湾側は「日本と欧州のベストミックス」と称するが、日本側は「新幹線の初の海外展開事例」と位置づける。その台湾の高速鉄道に導入される新型車両ははたして日本製なのか。まもなく詳細が明らかになるはずだ。

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