【産業天気図・食品】円高で原料価格低減、内食志向も追い風で「晴れ」、懸念は低価格傾向
10年4月~9月 | 10年10月~11年3月 |
食品業界は2010年4月から1年を通じて、「晴れ」になる見通しだ。
円高を受け輸入比率の高い小麦や豚肉、大豆などの原料価格が低減できる上、内食志向も販売面の追い風となりそう。好例が食肉業界。豚インフルエンザの打撃一巡、食肉高騰による高値在庫も一掃できたという好材料も手伝い、最大手の日本ハム<2282>は大幅増益となる見通し。また、お弁当需要で好採算のハム、ソーセージなどの食肉加工品も好調。この恩恵で丸大食品<2288>や伊藤ハム<2284>も増益が見込める。
業界の懸念材料は、消費不況を受けた低価格化の波。中期的には企業体力を圧迫する要因だ。主要各社では足元環境を好機に中期戦略に備えができるかが10年度の大きなテーマだ。
積極投資組の代表格はキユーピー<2809>。10年のマレーシア工場竣工を皮切りに、海外市場開拓にも本腰を入れる計画。今後も工場再編や海外投資に積極的な姿勢を示している。日清食品ホールディングス<2897>も海外に強い。
展望厳しいのはパン業界。業界トップの山崎製パン<2212>は傘下の不二家や東ハトといった菓子事業が業績を下支えするが、本業のパンは横ばい程度。これまでのような大きな伸びは期待できない。第一屋製パン<2215>などの下位グループは、菓子のような業績を支える事業に欠き、低価格化の波をもろに受ける。下位グループにとっては、長期化が想定される消費不況をいかに乗り切るか、経営戦略が問われる時期を迎えている。
(麻田 真衣)
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