ミュルダールの経済学 福祉国家から福祉世界へ 藤田菜々子著 ~改革を目指し続けた姿勢とその基礎の歴史認識に学ぶ


 著者は、ミュルダールのすごさを再認識させてくれたし、日本の経済と社会の危機を経験しているいまこそ、ミュルダールに学ぶ必要があることを痛感させてくれた。

ミュルダールの議論のあれこれを現状分析に応用するということではない。現実の問題を深いところでとらえ、改革を目指して執拗に発言し続けた姿勢と、その基礎にある歴史認識を学ぶ必要がある。

日本の場合、経済政策の誤りと社会政策の不備の累積的・循環的相互作用が危機を深化させている。失敗の原因はむしろ状況判断の努力の不足である。

選択可能な諸政策の効果を冷静に比較検討して国民に選択を問うという(民主制を機能させるうえで不可欠な)努力を、政府の政策決定に影響を与える地位にある人々が怠ったことが、危機をもたらしたのである。

ふじた・ななこ
名古屋市立大学大学院経済学研究科准教授。1977年三重県桑名市に生まれる。99年名古屋大学経済学部卒業。2005年名古屋大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。博士(経済学)。

NTT出版 3990円 317ページ

  

ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • Amazon週間ビジネス・経済書ランキング
  • 自衛隊員も学ぶ!メンタルチューニング
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
  • 最新の週刊東洋経済
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
三菱重工と日立 「統合」破談から<br>10年 製造立国の岐路

10年前に統合構想が破談になった三菱重工業と日立製作所。その後両社は対照的な道を歩み、2009年に伯仲していた時価総額は今や日立が大きく上回っています。本特集では明暗が分かれた三菱重工と日立を主軸に、製造立国・日本の生きる道を探りました。

東洋経済education×ICT