【産業天気図・住宅・マンション】需要は住宅ローン減税など追い風、後半「曇り」に改善へ
10年4月~9月 | 10年10月~11年3月 |
住宅・マンション業界は2010年4~9月が「雨」、10年10月~11年3月が「曇り」となる見通し。
09年の新設住宅着工件数は45年ぶりに80万戸割れ。マンション供給に絞ってみると、09年の首都圏の新規供給戸数は3・6万戸と低水準だった(出所・不動産経済研究所)。マンション市場は、09年に唯一入超となった首都圏においても低調だった。理由は立地との比較感から依然高価格物件が多く、購買層が中古や土地付きで2500万円前後の分譲戸建てに向かったためだ。このため供給サイドで過大在庫の回転が効かず、倒産する企業が相次いぐ背景になっている。
厳しかった09年に対し、10年の住宅・マンション市場は若干の改善が見込めそうだ。首都圏のマンションを中心に、08年以前に取得した用地に建つ物件が多いが、いずれも棚卸資産評価損を計上済み。また建築費もピークから20%程度低下している。このため、マーケットニーズに応じた価格で販売される物件が増える見込み。
一方、購入サイドでは住宅ローン減税など政策の追い風がある。住宅ローン減税は年内引き渡し物件の減税幅が最大で、以後年々低下する。また、住宅金融支援機構の「フラット35S」は、10年間の固定金利部分の金利の引き下げ幅がこれまでの0.3%から1%に拡大されており、これも年内申し込みが条件。こうした制約がマンション購入を牽引する可能性が大きい。
ただ、マンション価格を引き上げられる状況ではないのも実情で、都心の好立地物件以外はデベロッパーにとって収益面の大きな改善はない。本格回復は09年以降の用地取得物件が売り出される11年からになりそうだ。
こういった環境を背景に、個別企業はおおむね、小幅ながら収益改善を見込んでいる。三井不動産<8801>は11年3月期、分譲戸数減だが採算好転で営業利益は横ばい圏の見通し。三菱地所<8802>も10年度は小幅の増収増益。住宅分譲部門は依然赤字だが、前期末に完全子会社化した藤和不動産は今期黒字化を見込む。三菱地所本体は都心の高額物件が多いが、藤和はボリュームゾーンが対象だ。大京<8840>も、主軸の分譲マンションが戸数横ばいでも採算小幅改善。管理、仲介等の事業も伸び、増収増益が見込まれる。
(日暮 良一)
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