N高「投資教育」が高校生にもたらす絶大な価値 子どもが実社会への扉を開くきっかけに

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22年度から高校の家庭科で金融教育が拡充される

このように高校から投資の経験を積ませることはさまざまなメリットがありそうだ。折しも22年度からの高校の新学習指導要領では、資産形成の観点から家庭科で金融教育を拡充することが盛り込まれた。同年に成人年齢が20歳から18歳へと引き下げられるのを機に、政府は金融リテラシーの引き上げを図っていく姿勢を打ち出している。こうした流れも手伝って、N高投資部のような部活動が各校で立ち上がり、広がりを見せていくのだろうか。

それにはいくつかハードルがあるのは確かである。1つは親の理解である。N高のような新鋭の高校と比較して、一般の高校では株式投資への偏見があったり、時期尚早と考えたりする親も多いとみられる。そんな中で学生の投資活動に対する親の了解をどう得ていくかはポイントだろう。

第2に講義・講師の確保である。多くの学校では、金融や投資のことを未経験者に教えられる教職員が不足している。N高投資部でも、投資教育の講座の拡充を課題としており、前述の『業界地図』の出張講座など外部講師の受け入れや、教材の改善に力を注ぐ。さらに、現実のお金で投資を行う場合は、資金の提供元を見つけることも課題だ。

もっとも欧米諸国では、早期から金融教育が導入されていることが知られている。米国の若者が教養として身に付けるべき金融知識を紹介した本『アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書』(アンドリュー・O・スミス著、SBクリエイティブ)によれば、10代のうちから学生がおカネやキャリア設計、投資や老後資産のことなどを本格的に学んでいるそうだ。株式投資をすることも珍しくない。

米国と日本では、文化や慣習の違いがあるかもしれないが、経済や金融の複雑化にさらされていることには変わりはない。そうした中、早いうちから自活力を身に付けるうえでも、教育現場から金融教育を広げる動きがもっとあってもいい。

>>『会社四季報 業界地図』に関心のある教育関係者の方はこちらからお問い合わせください。

(写真はすべてN高等学校提供)

執筆:西澤佑介
制作:東洋経済education × ICT編集チーム

東洋経済education × ICT

小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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