N高「投資教育」が高校生にもたらす絶大な価値 子どもが実社会への扉を開くきっかけに

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投資に生かせる統計講義や証券会社による講義などを通じて、投資に関する知識を身に付ける

「生徒がお金儲けをすることが投資部の目的ではない」と、投資部の運営を担当するN高職員の松井尚哉氏は言う。「ニュースに関心を持って身の回りの社会を知ったり、自らのキャリアについて考えたりするきっかけにしてほしい」。その際、リアルマネーであったほうが学びも大きくなるというのが運営側の狙いである。

現在、部活動は2019年度に第1期を終え2期目を迎えている。

そのうちの一人、高校3年生の横島光希さん(17歳)は、もともと株式投資に関心を持っていた。N高に転校する前に通学していた高校でも、授業の一環で仮想の投資ゲームなどをやったというが、「投資ゲームとは身の入り方が違う。現実のお金のほうが投資や企業のことをより多く学べる」と話す。

将来は物流業界を変える仕事に就きたいと語る横島さんは、日野自動車、いすゞ自動車、マツダなど、自動車メーカーの株式を中心に購入した。投資先のIR(投資家向け広報)担当者にもコンタクトを取り、物流業界の未来について質問をぶつけたところ、高校生だからとむげにはせず、電話で親切に応対してくれた会社があったとうれしそうに語る。投資部に入って、ニュースを自分で調べる力がつき、今後の流れを予想できるようになったという。

企業訪問なども行っている。(写真左上)ビックカメラ、(左下)サイバーエージェント、(右上)トヨタ、(右下)ダイドー

同じく高校1年生の部員、和賀陽樹さん(15歳)は、ROE(自己資本利益率)などの指標を慎重に検討した末、不動産のヒューリック、化学大手の東レに投資した。「割安かなと思った」。その後株価は順調に上がり、収支もプラスになっているという。が、お金以上に、和賀さんの糧になりそうなのは、新聞を読み始めるようになったことだ。「投資を始めてから政治や経済の問題に興味を持ち、考えるようになりました。新聞記者という職業にも興味を持った。だから高校卒業後は経済学部、商学部のある大学に進学したい」。

投資部は親と子の会話を生むきっかけにもなっている。N高職員の松井氏は、部員の親と話をした際、次のような反応が返ってきたと明かす。「親の勤める会社の事業や仕事について、もっと詳しく教えてほしいと子どもが質問するようになった」「家庭ではお金の話はしづらかったが、子どもが投資部に入ってから家のお金の現状を伝えやすくなった」。

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