法と経済学 スティーブン・シャベル著 田中亘・飯田高訳 ~望ましい法制度を経済学の手法で分析する

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 本書は、所有権法、契約法など、法分野ごとの記述がなされているのは従来と同じだが、法の一般構造や、道徳や衡平性についての厚みのある記述が特徴的だ。たとえば、わき見運転は事故を起こしてはじめてその責任を負うことが多いが、スピード違反や飲酒運転は事故を起こさなくても罰せられる。このように、法的介入を行うのは、行為の前なのか後なのか、実際に損害が発生した後なのか、こうしたことも法と経済学の分析手法で有効な結論が得られる。また、道徳でカバーする領域と法でカバーする領域とはどのようなものか、についても含蓄のある結果が紹介されている。

法制度は国によって異なるため、法と経済学の一般的分析には整合的でも、個々の日本法との対応は気になるところだが、本訳書は随所に日本法についての訳注があり、この点もカバーされている。大部でもありやや高価だが、翻訳された日本語も読みやすく、翻訳者の専門的力量の高さがうかがえる。

Steven Shavell
ハーバード・ロースクール教授。1946年生まれ。ミシガン大学卒(数学・経済学専攻)。MITにてPh.D.(経済学)取得。ハーバード大学経済学助教授、ハーバード・ロースクール・フェロー(リベラルアーツ)、ハーバード大学准教授などを経て、82年より現職。

日本経済新聞出版社 9765円 860ページ

  

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