ICT教育「できる先生」できない先生の圧倒的差 小さく始めて大きく育てるのがコツ

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例えば、東京の聖徳学園では、子どもたちが自分で学んだ内容を動画にまとめて発表させるアウトプットのための動画作りを徹底させているという。しかも、こうした動きがほかにも数多く見られるのだ。

「大学では、慶応のSFCがAO入試のエントリーで、自己紹介を3分間の動画で提出することを必須としました。自分のプロモーションビデオを作れない人は、受ける資格もないということです。また企業の採用試験でも、コロナ禍で面接ができないこともありますが、カルビーが動画を活用するなど300社ほどで同じ動きが見られます。どんな状況であれ、人にきちんと納得してもらえるようアウトプットするには、自分自身がしっかりと理解していなければならないし、興味を持ってもらうための仕掛けが必要です。こうした事例からもわかるように、自分が得た知識をアウトプットするというクリエーティブなスキルが求められる時代になっています」

今後は、授業においても積極的に子どもたちにアウトプットを促していく組み立てが求められるということだろう。それは、これまでの先生が一方的に話す“チョーク&トーク”といった教えることが主体の授業ではなくなっていくことを意味する。

「教えたくて先生になったという人は多いと思うけれども、先生はしゃべりすぎずに、子どもたちが主役になるような授業をつくってほしい。自分が考えていることや学んだことをグループで発表させるなど、インプットとアウトプットを繰り返すのです。これまで授業が7:3でインプット中心だとしたら、インプットが3でアウトプットが7ぐらいのイメージ。ついICTを使うこと自体が目的になりがちですが、このインプットとアウトプットを効率的に行うための手段としてICTを使えばいいのです。結果として、授業の改善が進むと考えています」

ICTを活用した授業というと、年齢が若い先生のほうができると考えがちだ。しかし、平井氏は「年齢は関係ない。必要なのは“頭の柔らかさ”だ」と話す。むしろベテランの教員がICTを活用できるようになれば鬼に金棒。だからこそ、授業の上手なベテラン教員がICT伝道師として“エヴァンジェリスト”になったほうがうまくいくと平井氏は言う。

「何も授業のすべての時間でICTを使う必要はないのです。15分程度でも構わない。学ぶ内容によって学び方を変えていけばいいだけなのです。ICTと対面の授業を組み合わせて、学び方を変えていく。そうした経験を積んでいけば、どこでICTを使えば効果的なのかがわかってくるはずです」

学校は今、ビフォーコロナの対面授業のみの時代に戻りたくて仕方がないはずと平井氏は指摘する。どうだろう。心当たりのある人はいないだろうか。しかし、対面授業ができるようになってもビフォーコロナに戻ることはできない、ICTは使い続けなければならないと肝に銘じるべきだと平井氏は警鐘を鳴らす。

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