「金髪、革ジャン」異端のIT起業家が描く野望

ベトナム人エンジニア1200人率いて急成長

サンアスタリスクの小林泰平代表。同社は東京・神田のほか、ベトナムのホーチミンやハノイなどに拠点を構えている(撮影:尾形文繁)

革ジャン姿に金髪、ピアス――。

これがサンアスタリスク代表の小林泰平のスタイルだ。東証マザーズに上場した7月31日も、小林はライダースジャケット姿で東京証券取引所に現れた。周囲の注目を集めたことは言うまでもないが、小林は「変な奴がいる方が面白いじゃないですか。一発で僕というキャラクターが分かってくれたと思うんですよね」と笑う。

外見と違わず、小林の経歴はユニークだ。早稲田実業高校を中退後、バンド活動の傍ら新宿のライブハウスに勤務していた。1年半、ホームレス生活を送ったこともある。しかし、26歳の時にプロのミュージシャンになる夢を諦めてITエンジニアに転身。ソフトウェア開発会社に就職してから10年で、上場企業の代表まで上り詰めた。まるでジェットコースターのような人生だ。

起業を機にベトナムへ移住

小林が代表を務めるサンアスタリスクは、企業の新規事業開発をデジタル技術で支援している。社員はベトナム法人の1200人を中心に4カ国で1500人超、大半をエンジニアが占める。取引先はマネーフォワードやユーザーベース、ソフトバンク、LINE Payなど幅広く、これまでに300以上の新規事業やサービス、アプリを開発してきた。

サンアスタリスクの前身であるフランジアの創業は2012年。転職者向け求人サイト運営のアトラエ創業に関わった連続起業家の平井誠人に誘われて、小林はフランジア・ベトナムのCOO(最高執行責任者)に就任した。

平井と出会ったのは、小林がソーシャルゲーム開発・運用に関わっていた会社員時代だった。「サービス開発ができるテクノロジーチームを作ろう」という平井の誘いに小林は迷わず乗った。

この頃、小林は社会人3年目の28歳。起業に誘われた理由について、「僕は基本的に楽しくないのが嫌い。楽しくないならどうすればいいかを考えてアクションして、周りを巻き込むことができる。そこを(平井が)評価してくれたのだと思う」と語る。

平井から起業に誘われた翌日、小林は会社を退職し、右も左もわからぬままベトナムへ移住した。エンジニアとして会社の業務をこなしつつ、ベトナム人社員に実践教育を行う日々。当時のベトナム法人社長は技術に明るくないこともあり、小林がプロジェクトや組織のマネジメントも担当するようになっていった。

しかし社会人経験に乏しい小林は、ビジネスマナーや組織の運営法がわからない。「自分なりに考えつつ、Googleで検索しながら試行錯誤してきた」。2015年にはベトナム法人代表に就任。順調なキャリアに見えるが、実際は手探りの連続だった。小林は採用も担当していたが、経験者よりも若手や新卒を積極的に受け入れた。

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