スーパー高校生集結「数学オリンピック」の内実 中韓のエリートvs日本、順位はいかに
問題数は3問、制限時間は4時間半。2日間にわたり合計6問を解いて結果を競う大会だ。今年の日本の順位は105カ国中18位。5つの銀メダルと、1つの銅メダルを獲得した(大会全体の受賞者数は金メダル49名、銀メダル112名、銅メダル155名、優秀賞173名)。
全体の結果は、以下のとおりだ。1位中国・ロシア、3位米国、4位韓国、5位タイ、6位イタリア・ポーランド、8位オーストラリア、9位英国、10位ブラジル、11位ウクライナ、12位カナダ、13位ハンガリー、14位フランス、15位ルーマニア、16位シンガポール、17位ベトナム、18位ジョージア・イラン・日本……だった。
日本は1990年の中国大会から参加をしていて、2009年の2位が最高位だが、いずれの年も22位以内の好成績を残している。ここ数年とくに強さを見せているのが中国、韓国、米国だ。
「日本は毎年、全国で予選をやって代表選手を選んでいるのに対し、中国や韓国は国を挙げて人材を育てていて、小さい頃から国家でエリートを養成し、代表を選んでいます。また米国も国として力を入れています。
日本でも代表選手が決まった後に強化合宿で指導は行いますが、そうした国に比較すれば不利と言わざるをえません。そこで日本では、6人全員の力をいかにそろえられるのかがポイントになるのですが、例年の順位にばらつきが出てしまうのが現状といえます。ですが『国際数学オリンピック』が国の教育力を社会、対外的にアピールする国際競争の場となる中で、18位というのは十分に健闘した結果といえるのではないでしょうか」(宮下氏)

数学オリンピックは、下位層の底上げではなく、上位層をより多く、より高くすることを主たる目的にしている。イノベーション重視の社会的要請を受けて、その担い手となる上位層を育てようというわけだ。具体的には、数学に関して優れた才能を持つ若者を見いだし、その才能を伸ばすことを目指しているという。実際、「東大や京大に進学し、研究者となり大学教授として活躍する方も出てきている」と宮下氏は話す。
「国際数学オリンピック」は、数学や科学に興味を持つ若者の間の交流を盛んにすることも目的としている。例年の大会では、世界中の子どもたちが、互いに数学の難問を出し合う姿が恒例の光景だという。23年の「国際数学オリンピック」の開催国は日本だ。コロナが収束して、そうした子どもたちの姿をまた見られるようになることを祈るばかりである。
(注記のない写真はiStock)
制作:東洋経済education × ICT編集チーム
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