学修者本位への転換を迫られる高等教育機関 社会の中で価値を生む大学の将来像を考える
見直しを迫られた大学入学共通テストではあるが、白書では、「知識・技能」「思考力、判断力、表現力」「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」の学力の3要素の重要性は変わらないと指摘。これらを育成し評価するための高校教育、大学教育、大学入学者選抜の三者一体的な高大接続改革の取り組みを進めるとしている。学習指導要領の文脈をなぞることとなるが、知識基盤社会の中で新たな価値を創造していく力を身に付けていくためには、学力の3要素をバランスよく育むことが欠かせないからだ。
そうした力を大学教育でさらに発展させていくために、中央教育審議会から「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」が公表されている(2018年11月26日)。2040年は遠い未来の話ではない。今年生まれた子どもが大学生活を送っている時期に重なるだろう。
内容を見ると、予測不可能な時代を生きる人材像として、普遍的な知識・理解と汎用的技能を文理横断的に身に付けるとともに、積極的に社会を支え、論理的思考力をもって社会を改善していく姿を掲げている。高等教育としても、学修者1人ひとりの学習成果の可視化、学修者が生涯学び続けるための多様で柔軟な仕組みをつくる、学修者本位の教育への転換を促している。
高等教育機関が多様性と柔軟性を確保するためには、社会人や留学生といった多様な学生を受け入れる体質改善に加え、教員の多様性も欠かせない。文系と理系の枠にとらわれず時代の変化に即応したプログラム編成にも挑まなくてはならないだろう。これまでにはなかったダイナミックな動きや多様性を受け止める柔軟なガバナンスに変わる必要もある。
求められる人材像の変容に伴って、教育の果たす役割も変わっていくだろう。1ついえることは、知識基盤社会の中で、教育と研究の拠点である高等教育機関の存在意義が高まっていくということではないだろうか。(写真:iStock)
制作:東洋経済education × ICTコンテンツチーム
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら

















