船橋市立坪井小学校の峯友明校長と萩原直之先生に聞いた「失敗恐れる優等生」に効く、うまい殻の破り方 「意見言える子」「認め合える子」はどう育つ?

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「1年生からプログラミング!」教師のやる気が児童に伝播

そんな坪井小のもう1つの特徴は、プログラミング教育の充実ぶり。5年生以降で必修とされているプログラミングだが、同校では1年生から段階的に実施するという本腰の入れようだ。
「プログラミングを本格的にやるのは、5年生の算数、そして6年生の理科の授業です。ただ、そのときになっていきなりプログラミングといわれても、児童は戸惑うでしょう。当校は電子黒板やiPadなどの機器がそろっているという環境面のメリットを生かして、2019年度から全学年で取り組むことにしました」(峯友先生)

6年生の理科で、効率のよい電気の使い方について考える学習の様子。児童は電気をセンサで自動点灯できるよう、タブレットを駆使してプログラミングした
(提供:坪井小学校)

そんな意欲的な児童たちに負けず劣らず、教員たちのモチベーションも相当高い。全部で60人弱の教職員を抱える大所帯の同校だが、教員同士がオンライン教材を共有したり、授業計画にICTを取り入れたりすることで柔軟に助け合い、ノウハウの蓄積を図っている。「授業運営について、教員から不安の声が上がることはありません。ICTやプログラミングのような新しいことにチャレンジしていこうという教員たちの意識の高さは、間違いなく子どもたちに伝播しています。坪井小の誇りですね」と、峯友先生も自信をのぞかせる。教育現場の第一線に立つ萩原先生は、プログラミング教育の成果というと、6年生の理科の授業を思い出すという。
「去年、テーマを『節電』に据え、どうすれば電気を効率よく使えるかプログラミングを使って考える授業をしました。いざ始まると、児童たちから僕が想定していなかったような斬新なアイデアがポンポンと出てきたんです。人感センサーと光検知センサーを組み合わせたらいいのではないか、など……。最後にはしっかり正解にたどり着いたグループもありました」(萩原先生)

(撮影:大倉英揮)

「自分の意見があること」が、ICT教育の大前提

ITリテラシーもデバイスを使いこなすスキルも、しっかり身に付けてきた同校の児童たち。しかし萩原先生は、「ITスキルを高めることが目的ではありません」と強調する。

「狙いはあくまでも、『主体的で対話的な児童を育てる』こと。そのためのツールとしてITスキルが必要だから、6年かけてじっくり学ばせているんです。そこを見失ってはいけないと思います。そして、対話的であるためには『自分の意見があること』が大前提。意見を考えるときは、まずiPadを裏返しにして机に置き、自分の手でノートに書くよう指導しています」(萩原先生)

「どの教科でも、紙の教材が合う部分と、ICT教育が合う部分がそれぞれあります。紙かデジタルかの二者択一ではなく、両方を目的に応じて使い分けるバランス感覚を身に付けてほしいという思いです」(峯友先生)

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事