【産業天気図・精密機器】カメラ底打ちも、事務機など法人向け苦戦続く、10年9月まで「曇り」

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 一方、事務機はまだ底が見えない。日米欧の先進国市場は、顧客企業の投資抑制に加え、コスト削減策として広がるカラー印刷の禁止も大きな痛手だ。事務機3強のキヤノン、富士ゼロックス(富士フイルムホールディングスの子会社)、リコー<7752>とも、本体の売り上げ減に加え消耗品や保守サービスにおける打撃が大きい。「どの企業も設備投資を絞っており大変厳しい。本格的な回復は来期以降になりそうだ」(リコー・三浦善司取締役)。

オフィス用複合機の買い替え需要が鈍い中、各社が次の牽引商品として期待するのが「デジタル商業印刷機」と呼ばれる業務用印刷機だ。複合機の出力スピードや色再現性を高め、カタログやダイレクトメールといった業務用の印刷物に強みがある。多品種少量印刷を得意とし、よりメッセージ性の高いダイレクトメールが作成できる。日本ではまだ馴染みがないが、米国などでは市場が形成され拡大途上にある。

09年11月にはキヤノンが欧州最大の商業印刷機メーカー、オセ社(オランダ)の買収を発表した。ゼロックスも高速機のラインナップを拡充し、1to1マーケティング時代に対応した需要の創出に取り組む。注目は08年来、オセ社と提携していたコニカミノルタホールディングス<4902>。オセという強力な提携先を失いはしたが、このまま黙っているはずがない。新たな市場が形成される前から、事務機メーカーの戦いは始まっている。
(前野 裕香)

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