【産業天気図・化学】ナフサ再騰等で前半「曇り」、10年4月からは需要回復と収益構造改善で「晴れ」へ
09年10月~10年3月 | 10年4月~9月 |
化学業界の2009年10月~10年3月は「曇り」、10年4月~9月は「晴れ」となりそうだ。10年3月まではナフサ価格上昇や中国の息切れ懸念、主要顧客である自動車生産の緩慢な回復など一部を除いてマイナス材料が多く、一気には回復軌道に乗りきれそうもない。だが10年4月以降は、需要本格回復や収益構造の改善により、主要企業の多数で業績改善が進みそうだ。
主要化学メーカーのうち、09年4~9月期(上期)実績発表までに今期通期予想を引き上げたのは、旭化成<3407>、日産化学工業<4021>、三井化学<4183>、JSR<4185>、ダイセル化学工業<4202>、日立化成工業<4217>。また会社予想の増額修正はないが、「会社四季報」新春号で独自に業績予想を引き上げたのが昭和電工<4004>(12月決算)、三菱ケミカルホールディングス<4188>、住友化学<4005>。
いずれも前期大赤字の主因となった在庫評価損が減少。また石油化学製品などは、原料安や中国需要増で汎用品中心に数量が回復、大幅な赤字圧縮となった。中でも液晶パネル関連製品・材料などを擁する日産化学、JSR、ダイセル化学、日立化成は期初想定を上回る上期業績となった。医薬品や農薬などディフェンシブ事業の構成比率が高い企業も上向き業績を確保した。
ただ、上方修正したとはいえ、上期の上振れ幅に比べると通期はそれほど大きくない。期初想定は下期回復の期待値が大きいことから、実質下期は減額のケースがほとんど。据え置いている場合も、上期に当初計画よりも上振れたが、それを貯金として持ち越している。「特に年明けの10年1~3月期が読めない」(業界企業の財務担当者)ため、控えめな数字とせざるを得ない。